昭和懐かしの温かさを残している下宿屋のおばさんです。
会館から15年余り、数々のドラマがありました。
その中でも、この仕事ならではの、深く心に残るエピソードがあります。
当館は、朝夕の食事をお出ししています。
それは、業者から仕入れたものでもなく、
既製品を利用したものでもありません。
恥ずかしながら、「調理士」としての技術をいかしつつ、
家庭の味にこだわったお食事です。
特に他の学生会館や寮との違いは、
「近江町市場」での買い出しによる新鮮な魚料理です。
そんな中嬉しい逸話があります。
都会から来た学生さん。
魚は「切り身で骨なし」しかたべたことがありません。
初めて見た「カレイの煮つけ」は食べ方がわからなかったのです。
お隣の席に座った子に、
「どうやって食べるのですか」と聞いている様子が耳に入りました。
私がすぐにその場に行教えてあげるのも方法ですが、
そこは興味深々にお二人のやり取りに見入っていたのです。
お隣の子が魚の身をお箸でほぐすところをやって見せています。
教えてもらっている彼女はお隣さんの箸遣いをまねながら
苦戦しながらもカレイの身をほぐしています。
一口食べて「おいし~~~~~~~」と感嘆する彼女。
続いて「初めて~」食べたことたもちろん、
自分の箸で身をほぐしたことも感動してるようです。
なんともまあ、温かい和ましい光景でしょう。
下宿屋のおばさんが口出しなくてよかったです。
下膳されたお魚の皿は、魚の原型はなく、
小さく山積みされてお皿の箸に寄せられていました。
彼女なりの心遣い。
素敵なレディが誕生した瞬間でした。
